先日、IT系のセミナーへ。
馴染みの方々ともご挨拶できて、心地よい時間を過ごしました。
私はエンジニアではないからかもしれませんが、
企業や組織のシステムは、ITに精通した人が描く理想形よりも、
現場や実務をよく知る人が作るものにこそ価値があると感じています。
なぜなら、私自身がITに強いわけではなく、
これまでに何度も「使いたくないシステム」に出会ってきたからです。
システムは、使われてこそ。
飾りではなく、日々の中で息づくものであってほしい。
そんなことを考えながら、ふとこれまでの自分を振り返りました。
CRMの価値すら分かっていなかった私が、
まさか設計から構築・設定まで手がけることになるなんて。
昨年の自分が聞いたら、きっと目を見開いて驚くと思います。
当初、「到底無理」と思って見積もりを取ったところ、
提示されたのは300万円。
それほど難易度が高いのかと、一度は諦めかけました。
けれどある時、
「できるかもしれない」ではなく、
「やるしかない」と腹をくくりました。
そこから日々、学び続けてきた結果、
気づけば300万円のうち、150万円分くらいのクオリティまでは
自力で到達している実感があります。
残りの150万円分を形にするには、
もう少しの技量と知恵が必要です。
でも、それも必ず超えられる。
そう思えている自分がいます。
伸びしろは、いくつになっても、どこまでもつくれる。
そんなことをしみじみ感じる、55歳の初夏です。
このシステムを完全に作りきって、
300万円以上の価値ある仕事として完成させたら——
最高に美味しいお酒と馬刺しを食べると決めています。
あ、ホヤも追加で。
ご褒美の味を想像しながら頑張るのも、
なかなか悪くありません。
そして、もうひとつ、最近よく考えることがあります。
仕事に就くと同時に、
「引き継ぎ書の作成」は始まっているのではないか、ということ。
人に教えることこそが、最大の仕事理解だと思うのです。
教えるというのは、とても高度なこと。
本当に理解していなければ、相手に伝えることはできません。
業務としての引き継ぎ書だけでなく、
日々の積み重ねの中で、それは自然と形づくられていくものだと感じています。
平成初期。
大手食品メーカーを退職する際は、3.5インチのフロッピーディスクにまとめて後任へ。
平成中期。
エネルギー供給業界では、クラウドが出始めながらもまだ浸透せず、
クラウドとUSB、そして紙での引き継ぎ。
そして令和。
前所属の政治団体を離れる際には、
自分がいかに重要なポジションを任せていただいていたのかを、改めて実感しました。
それでも不安がなかったのは、
日頃から準備をしてきたこと、
そして後任者の育成と選定をしっかり行ってきたからです。
企業は、人が辞めても回る。
それはその通りで、そうでなければ困ります。
でも私は思うのです。
辞め方には、その人の生き様が現れる、と。
立つ鳥跡を濁さず。
これまで関わってきた企業や団体、どこにおいても、
そうありたいと意識してきました。
そして結局のところ、
仕事の上の商談も、お客様対応も、社内会議も、引き継ぎも、
すべては人と人とのコミュニケーションです。
どんなにITが進歩したとしても、
人と人とのコミュニケーションを超えるシステムは存在しない。
何かにつまずいたとき、
なぜかうまくいかないと感じるとき、
その原因は、案外シンプルで、
人と人とのコミュニケーションにあることが多いのだと思います。
セミナー会場の帰り道、
ふと隣に目をやると、素敵な和紙のお店がありました。
こういう場所に、つい足が止まります。
いつも懐紙を持ち歩いているので、
季節のものをいくつか購入しました。

ITの世界に身を置きながらも、
どこかでアナログの温もりに惹かれている自分がいる。
便利さと、人のぬくもり。
どちらも大切にしながら、
これからも、自分なりの仕事を積み重ねていきたいと思います。


