しいなゆきこ『言葉と生きる力』

私が社会活動している団体の企画・主催で、11月1日水曜に松戸市の戸定邸歴史館松雲亭において、NPO法人ミンダナオ子ども図書館の松居友さん、奥さまの松居エイプリルリンさん、スタッフの西村奈々子さんによる、子どもの生きる力について、ミンダナオ島での活動を取り上げながらお話し会を開催しました。平日昼間の開催にもかかわらず、たくさんの方にご参加いただき心から感謝しております。

企画・主催団体は「市民がつくる政治の会」で、日本の食は本当に安全なのだろうか? 日本の医療はクスリ漬け? 日本のキレイな水や空気を守るためには? 日本の教育は大切なことが抜けていないだろうか? 子どもたちの暮らしや命を守るためには? …と、このような毎日の暮らしの中で湧き上がるふとしたギモンや不安を思いを同じくする仲間たちと語り合い、どうしていったらよいのか?を考えて行動する団体です。

主な3つの活動方針は、⑴活動の推進としての啓発・啓蒙 ⑵地方政治を重点的に ⑶コミュニティづくりの推進 を柱として、理念のような七か条に沿った活動をしています。

講師としてお招きしたのは「ミンダナオ子ども図書館(略称:MCL)」というフィリピンの現地NPO法人の方々です。ミンダナオ子ども図書館は、親を亡くした子どもたちに絵本の読み聞かせ、就学支援、医療支援、保育所建設、寄宿舎・下宿小屋の運営、避難民救援活動、植林活動を行なっているNPO法人で、2003年に松居友氏と現地の若者たちが共同設立し今年で20周年を迎えました。

立ち上げをした松居友氏は、1953年東京生まれ。福武書店(現在のベネッセ)で児童書の編集長として事業を立ち上げたのちに、偶然訪れたミンダナオ島でイスラム地域の戦争と子どもたちの置かれた状況を目の当たりにし、MCLを若者たちと立ち上げて現在に至ります。松居友氏のお父様(故・松居直氏)は、日本の子どもたちが大好きな児童書「ぐりとぐら」などを世の中に生み出した福音館書店の創設者であり、絵本編集者です。ご家庭にはたくさんの絵本があり、ご両親が読み聞かせをしてくれた思い出があると話してくれました。

また、同じくお話し会で体験談を披露してくださったMCLスタッフの西村奈々子さんは、1998年大阪生まれ。大学新卒でMCLのスタッフとなります。戦争や貧困により、真っ先に犠牲となるのは子どもたちであると心を痛め、実際にミンダナオ島を訪れ、助けたいと思っていた子どもたちから「生きる力」をもらい、救われたのは私の方だったと話してくれました。

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ミンダナオ島は、フィリピン諸島南部に位置する国内で2番目に大きな島、肥沃な大地と豊かな鉱物資源が特徴です。成田空港から約4時間と地理的にも近く、戦前には日本人学校があったほどで、戦中は激戦地となりました。現在でも日系人が多く、日本との関わりの深い地ですが、半世紀にも渡り紛争が続いており、親や家族を亡くした子どもたちが大勢います。命からがら、荷物もお金も何も持たずに避難をし、持ち物はポケットに入るものと着ているものだけ。もちろん食べるものもなく、寝る場所もないままに草の上で寝転ぶ子どもたちが大勢います。

ある日突然、そのような境遇に置かれたら、あなたはどう感じますか。

すべてに絶望してしまいそうな子どもたちの生きる力となったものは何だと思いますか?

私たちの住む日本は一般的に豊かな国と言われていますが、過去1年間に自殺した小中高生は514人となり、統計がある1980(昭和55)年以降で初めて500人を超え、過去最多になったと今年報じられました。(ー厚生労働省、警察庁は2023年3月14日「令和4年(2022年)中における自殺の状況」(確定値)を公表している)

ほかにも、貧困、引きこもり、不登校、いじめ…と、さまざまな社会問題があります。

ところが、私たちの感覚からすると、もっともっと絶望的な状況下にあるミンダナオの子どもたちですが、お話し会に登場した彼らは沢山の笑顔や力強く生きる姿ばかりが紹介されました。

この違いはなんだと思いますか?

松居友さんは、ミンダナオの子どもたちとの生活の中で感じた「死なない理由」や「子どもたちの考えかた」についてお話をしてくださり、日本との違いなどに大きく頷けます。

ミンダナオの子どもたちは「みんなパーフェクトじゃない、だからそれでいいんだ。」と言います。人と違ってもそれでいいのだと。違ったのなら相手と話をすればいい。そして、自分も相手もありのままに愛し、ありのままの自分のことも愛すること。家族という信頼し安心できる集団の中での自分の役割。そういった人と人との関わり合い方やつながりが、紛争で親を亡くした子どもたちの生きる力になっています。

西村さんは、日本から訪問した際、寧ろ子ども達に助けられたとも話されました。

日本の子どもたちはどうでしょうか。

本当の豊さとは?

今日の話を聞いて、忘れてきた多くのものに気づきました。それもまだほんの一部なのです。

「右でもなければ左でもない。だが子ども達の事が一番気にかかる。日本には大きな壁がある、それを少しでも崩すため、子ども達の事を考えてどこへでも出かけて講演をします。」と松居友さん夫妻は話されます。そして世界中の子たちも受け入れられる家つくりをミンダナオで目指しておられます。

友さんが3歳の頃に、お父様である松居直さんが語られたお話しを、70歳を超えた今でも表情豊かに誦んじられていたのが印象的でした。お人柄のように、とても穏やかな、豊かな時間が流れました。今後もより多くの方に聞いて頂きたいお話し会でした。

はるばる千葉県松戸市までお越しくださったミンダナオ子ども図書館の皆さまに心より感謝申し上げます。また、準備時間のない中、イベント企画・準備・運営に携わってくださった運営スタッフをはじめ、多くの仲間たちにも感謝申し上げます。ありがとうございます。

会場としてお借りした戸定邸歴史館 松雲亭は、とても素敵な場所でした。

松居友氏 著書「絵本は愛の体験です。」にサインをいただきました。

私は幼い頃から両親にたくさんの本を与えられ、読み聞かせをしてもらいました。そして年月は流れ、私もかつての両親のように自分の子どもたちにたくさんの絵本を読み聞かせしてきました。

絵本の記憶って、挿絵の記憶だったり、読んでもらった時の音、匂い、温度など、五感として何十年も記憶されています。不思議ですよね。

松居友さんのように、読んでもらったお話し、話してもらった言葉のリズムなど、忘れられず、思い出すたびに温かい気持ちになります。

外資系企業の進出や、日本の生活形態の変化に伴い、日本語も徐々に変化していますが、母国語である日本語をいつまでも語り継いでいきたいと思うのは私だけでしょうか。世界の長い歴史のなかで、独立国として国の基本的なかたちが変わらずに、ひとつの王朝がずっとつづいている日本は世界でいちばん古い国です。そしてずっと「日本語」だけが母国語なのです。

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