1945年8月6日午前8時15分、米軍のB29爆撃機が広島上空で世界初の原子爆弾”リトルボーイ”を投下した。そして広島市街は壊滅し、約14万人の死者を出した。
この歴史上の事実を私たち日本人は忘れないし、忘れてはいけない。

私は毎年寒い時期になると味噌教室を開催しています。もう何年も開催しているのですが、必ず教室で話すことがあります。(過去記事→しいなゆきこ『毎日のお味噌汁はカラダを守る』)それは味噌汁が放射能から身を守ったという話です。同年同月に長崎にも原爆投下がありました。その時の被曝した秋月医師の記録や、その記録をもとに研究をした広島大学名誉教授の渡辺先生の話などを著書を紹介しながらお伝えしています。この話は単に、”味噌汁が身体にいい”ということだけでなく、味噌に含まれる(発酵に関わる)微生物群に想いを馳せてもらえたら…という思いで、いつも話しています。
そして時は流れ2011年3月11日の東日本大震災後に起きた福島原発事故により、ホットスポットと呼ばれる地域があります。私の住む千葉県もまさにその一つです。放射能汚染は、子どもが泥遊びをした洋服の汚れやケチャップの汚れなんかとは比べものになりません。そうした放射能によって私たちの身体は確実に蝕まれていきます。
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先日、私は白鳥晢監督作品の『蘇生』というドキュメンタリー映画を見ました。この映画は福島原発事故を発端に、目にはみえない放射能汚染によって私たちの生活が脅かされていること、この地球環境が脅かされていることを地球上の生き物の原点である「微生物」を利用して蘇生する(蘇らせる)というドキュメンタリーです。
「微生物」は地球上の生き物の原点であり、生態ピラミッドの底辺に位置しています。私たちの身体にも微生物は棲み着いていて、皮膚表面にいるものたちを「常在菌」と呼び、小腸〜台帳に棲息する微生物を「腸内細菌」と呼んでいます。身体全体の微生物を合計したら100兆〜1000兆個とも言われています。その重さは約1Kg、キャベツ一個分の重さになります。人の身体を構成する細胞数が約60兆個と言われていますからその10倍以上もの微生物が私たちの身体には棲んでいることになります。その微生物の世界では原子転換が当たり前に行われているのです。素晴らしき世界!!
その微生物の中で「有用微生物群(EM菌;Effective Microorganisms)」と呼ばれるものがあり、光合成細菌、乳酸菌、酵母に分類されます。これらのEM菌を琉球大学名誉教授の比嘉照夫氏が農業の土壌改良に取り入れ、EM菌の活躍に驚き、それをはじめに畜産や水質浄化などにもEM菌が使われるようになりました。映像内では、汚染した悪臭を放つ川にEM団子なる有用微生物群を丸めた団子状のものを投げ入れ、川の浄化活動(蘇生活動)の様子が伝えられていました。EM菌によって環境改善できる仕組みは、有用微生物群はいわゆる「善玉菌」と一般的に呼ばれているものたちで、酸性という特性があります。それによりpHが酸性化することで「悪玉菌」と呼ばれるものたちが入りにくい(生存しにくい)環境になるという仕組みなのです。汚れや腐敗は酸化力によるものですので、微生物には抗酸化力があると言えるのです。
私たちが汚し続けてきた地球環境を微生物によって蘇生する。すべての命はつながっているから、微生物が死滅すれば、生き物すべてが死滅します。微生物は殺菌・滅菌・除菌をするのではなく共生することが必要なのです。すべては大きな自然の一部で、それらは循環しているということ。このことを私たちは忘れていけないのだと感じました。
「地球上のすべてのものは、微生物の海の中に存在しているのです。」— 比嘉照夫
あとからくる者のために / 坂村真民
あとからくる者のために
苦労をするのだ
我慢をするのだ
田を耕し
種を用意しておくのだあとからくる者のために
しんみんよお前は
詩を書いておくのだあとからくる者のために
山を川を海を
きれいにしておくのだあああとからくる者のために
みなそれぞれの力を傾けるのだあとからあとから続いてくる
あの可愛い者たちのために
未来を受け継ぐ者たちのために
みな夫々自分で出来る何かをしてゆくのだ
この映画の最後に坂村真民の詩がナレーションされ、胸にジーンときました。
最初の味噌教室の話にも通ずるのですが、核や原発、放射能など化学的に作り出したものは自然の循環には含まれないのです。そのものたちや、それらを作り出した人間は地球や生き物、私たち自身を破壊し汚染しました。どこまでもどこまでも破壊し続けて、汚染し続けています、こうしている今もなお。それを蘇らせることができるのは自然の循環しかないのです。私たちは自然の循環を破壊している破壊者であるという自覚を持つとともに、微生物のごとく、自然の循環のなかで蘇生活動をしなくてはと思うのです。真民の詩を声に出して朗読してみてください。
「あとからくるもののために、未来を受け継ぐ者たちのために、みな自分でできる何かをしてゆくのだ」


