子どもの偏食に関するご相談を良く受けます。おそらく、お子さまに関するご相談の中で一番多いかもしれません。
私自身、子どもの頃はかなりの偏食でした。栄養士なのに??と思われるかもしれませんが、逆にその経験があるからこそ、偏食のあるお子さまの気持ちもわかりますし、多方面からの偏食への向き合い方ができると自負しています。今現在の私は見事なまでに好き嫌いはなく、アレルギーもなく、食材のNGもなく、なんでも美味しくいただきます。私個人の経験談が全ての方に当てはまるとは思っていません。それでも誰か一人くらいのお役には立てるのかもしれないという思いから、講座などではお話をさせていただくこともあります。
— かつての私。
お肉は嫌い、でもハンバーグなら食べる。
お魚も嫌い、でもしめ鯖は好き。←三重県育ち故にしめ鯖大好物でした(笑)
野菜は嫌い、トマトときゅうりとレタスなら食べる。
ごはんは、ふりかけや海苔や白菜の漬物があれば食べる。苦肉の策で編み出した母のバターライス(ご飯の上にバターを乗せたもの)は美味しかった(笑)
食べられるものを書き出した方が早いってレベルです。
要するに、「食べること」にまったく興味がなく、言われるから(叱られるから)仕方なく物を口に運ぶ作業。苦痛でたまらなかった。食事の時間が大嫌いでした。なくなればいいのに本気で思っていました。
食事の時間が嫌いだった理由はもう一つ。夕食は父が揃って食卓を囲む習慣でした。現役自衛官の父は躾に厳しく、めちゃめちゃ怖い。(叱られてはいつも納屋に閉じ込められていました。悪い子だったらしい(笑))少しでもお行儀が悪いことをすると殴られました。一番記憶に残っているのは、歯が抜け替わりの時期にグラグラしていた歯が父の一発で飛び、食卓が血の海に(笑)今でこそ笑い話ですが、当時の幼い私には食事の時間が苦痛な理由の一つでした。
お肉は嫌いだけどハンバーグは食べる。これは要するに噛まずに食べられる安易な選択に走ったということ。
お魚は嫌いだけどしめ鯖は食べるというのは、魚の骨が刺さって食べにくいということ。お刺身なら食べた記憶があります。
こう考えてみると、思い当たることってありませんか?
1つめのポイント
1つめの原因は、食事内容が成長にあっていないから。
離乳食が始まった頃は、初めてのお食事だからと、良く潰したり、裏ごしをしたり、滑らかにしたりと工夫をします。我が子に食べて欲しくて手間をかけながら用意したと思います。
離乳食を卒業した途端、大人と同じものを出していませんか。カラダが成長するのと同じように、子どもの感覚・感触も成長途中なのです。硬さ、食べやすさ、口ざわりなど、お子さまの目線でチェックして見てくださいね。いつまでも離乳食のようなお食事では問題ですが、成長に合わせた硬さにする、食べやすい(手を出して食べたくなる)形にするなど、もしかしたらそこを見直すだけで食べるかもしれません。
2つめのポイント
2つめは「食わず嫌い」について。
誰だって初めて食べる時って(どんな味だろう?どんな感触だろう?)とドキドキすることってあると思います。好奇心の旺盛なお子さまでしたらパクッと食べてしまうかもしれませんが、慎重なお子さまだったり、不安を感じやすいお子さまの場合は手を出さないという安全パイを狙います。
- 食べなれない味=不安 → 嫌い
- 馴染みのある味=安心 → 好き
単純にこんなものなのかもしれません。
「人類で初めて◯◯を食べた人ってすごいよね?」こんなことを考えたことありませんか?まさに子どもにとって毎日がそのドキドキ体験の繰り返しなのです。そうして一つ一つ経験を積み、大人になっていくのです。
ですから、お子さまの貴重な経験のチャンスをどうぞたくさん与えてあげてほしいと思います。今日食べられなくても、明日は食べてみようかなって思うかもしれません。そして明後日には美味しいと感じるかもしれません。成長とともに嗜好も考えも変わっていくものです。ですから常に出し続けてください。子どものチャンスを奪わないであげてほしいと思います。
3つめのポイント
動物界では子どもは敵から狙われやすいものです。そして生き延びていくために「本能」というものが備わっていることが多いです。感覚過敏なお子さまは特にその傾向が強いかもしれません。
5味(甘酸塩苦旨)といって、5つの味があります。
- 甘味:これはエネルギー源となるよ!というサイン
- 酸味:これは腐っているよ!というサイン
- 塩味:これはミネラル(カラダに必要なもの)だよ!というサイン
- 苦味:これは毒だよ!というサイン
- 旨味:これはタンパク質=アミノ酸(カラダに必要なもの)だよ!というサイン
腐敗の進んだものって酸っぱい匂いがしたりします。これは作り出された有機酸によるものです。化学薬品や農薬や添加物などは苦味があります。これらを本能的に感じているのです。
ですから、農薬のない野菜を使ったら食べるようになった、とかね。添加物のない昔ながらの調味料に変えたら途端に食べるようになった、とかね。よくあるのです。
4つめのポイント
最後に、「笑顔の食卓であること」。
毎日、お食事の支度大変ですよね。(せっかく作ったのに食べてくれない…もう泣きたくなるわ!)というお気持ち、よくわかります。
それでも、お食事を作る時からお食事が終わるまで、どうか笑顔の溢れる楽しい食卓であってほしいと思います。(食卓が血の海でないことを切に願います(笑))食べないから出さないのではなく、根気よく出し続けること、苦手な食べ物・嫌いな食べ物を食べやすくする工夫を続けてほしいなと思います。
私の母は一貫して、私が食べないものも、嫌いなものも出し続けました。そして本当に美味しそうに食べていたのです。お母さんが美味しそうに食べている、お友達が美味しそうに食べている、こんな些細なきっかけからお子様がチャレンジするかもしれません。どうぞ、温かく大きな気持ちで見守ってほしいと思います。
食べずに残すばかりなのに嫌にならずに食卓に出し続けてくれた母。時に厳しすぎたけど食事(生活全般)の躾をしてくれた父。両親への感謝の気持ちを込めて記事にしました。
私も自分の子供たちには同じようにしてきたつもりです。
最後に…
今、偏食で悩んでいる親御さんへ。子どもの成長は人それぞれです。個人差があると私は思っています。もしかしたらその子のチャレンジする時期は明日なのかもしれません。ですからいつでも子どもがチャレンジできるようにチャンスを与えてあげてほしいと思います。




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